丹波だより
ジェイ農園スタッフより、作物のこと、
農作業のことなどをご紹介します
第8回(2018年 5月号)
5月下旬には、
小麦が麦秋を感じさせる色づきを見せていました。
5月初旬、
春日の山には紫色の藤の花が咲き、
4月下旬から5月中旬にかけて、丹波では多くの農家が田植えを行います。
農園でも、この時期、稲作の苗づくりが進んでいました。
古代米を含め、 7種類の苗を育てます。育苗の手間はかかるのですが・・・、
タネをとりまく環境が、かわりつつあります。
農業や食生活を守るために、複数の種を自分たちで確保しておくのも大切ではないかと考えています。
トマトです。今年は、昨年悩まされた「尻ぐされ病」による被害はほとんどなく、順調に生育していきました。しかし、実が赤く熟し始めるころから、「青枯れ病」が発生。
写真の矢印の部分からトマトの株がなくなっていますが、すべて「青枯れ病」によるものです。
「生石灰」、「ウィルス対策」の醗酵液、「病害虫対策」の醗酵液などを散布したり、水やりを控えたりと対策を行いましたが、その瞬間は進行がゆっくりになったような気がするものの、雨が降ったり、高温が続くと再び勢いを増す、という状況でした。
“発生(=顕在化)”した時点で、あれこれやっても、食い止めるのは難しく、病気の発生しない土をつくることしかないと思っています。
ある微生物農法を実践されている農家を題材にした本で、
一般的に「トマトの残渣には病原菌がついているため、翌年のトマトに影響をあたえないよう、すべてのハウスの外に持ち出して燃やしてしまう人が多い」ことに対して、
その農家の方は、
「あんたんところは残渣を持ちだして、次にトマトをつくったときに病気が抑えられたかね?出たでしょう?トマトの病気は残渣の問題じゃない。」
といって、病気になった残渣も「せっかくの有機物なのにもったいない」と土にすき込んでしまう。
生物性が整うと作物は病気にかかりにくくなり、有機物の分解速度が速くなったり、地温が高くなったりというメリットもあります。微生物は考える以上に作物の生育を助けている。
と述べています。(手島奈緒『儲かる「西出式」農法』さくら舎2015年P48-49)
また、有機農業のバイブルとされている『農業聖典』(1940年)を著したA・ハワードは、「ある実験で、菌類の感染で壊滅した1.2ヘクタールのトマトを片づけて堆肥化」し、その「堆肥を同じ畑に戻すと、素晴らしい収穫が得られ、菌による立ち枯れ」は発生しなかった。そして「別の病気にかかった別の作物で行った同様の実験」でも、「病原体は堆肥化で死滅すること」を証明しています。(D・モントゴメリー他『土と内臓』築地書館2016年P94)
無農薬で作物を安定的に収穫するために、“短期間で土壌改良を行う”には、醗酵液を散布して微生物を豊かにする以外に方法はないのではないかと思っています。
今年も水田除草を行っています。
上の写真は、チェーン除草の様子。ペットボトルを浮き代わりにして、電動リールで引っ張ります。昨年からチャレンジしていた試みですが、より浮力が増してスピードがUPしました。
人力で引くのと異なり、疲れないのが良いです。今年は、チェーン除草はすべてこの方式で行いました。その分、中耕除草機による除草に労力をさけたと思います。
そしてこちらの圃場では、チェーン除草の時期を終了したものの、ヒエが大量に発生。
昨年もヒエが多く、収量が激減。今年は田んぼの中に入って手作業での除草を何度か行っています。
手前側だけですが、かなりすっきりしました。この後、3回程手除草を行いました。
今年は、水田でこれまであまり見られなかった生き物が出てきています。
ホウネンエビ。これまでちらほら見かけることはありましたが、今年ほどまとまって見られたのは珍しい気がしました。
無農薬7年目の水田。何か変わってきている気がします。
そして、丹波で初めて見ました。カブトエビです。姫路の水田ではよく見ましたが、今年、初めて耕作する圃場で見つけました。
除草に一役かってくれるということで、探していたのですが、この圃場も手作業による除草を行わなければならないほど、ヒエが出ました。
ただ、醗酵液をまき始めて、気のせいか、水田の生き物の種類が増えてきたように感じます。